夜明けあと 星新一

島崎藤村の小説「夜明け前」
幕末から明治にかけ世の中が目まぐるしく変化していくなか、時代に翻弄されつつも理想に向かうが、潰されて精神を冒されていく主人公を描いています。

星新一の「夜明けあと」
タイトルは似せているようですが、内容はまったく独自の構成になります。
幕藩体制が崩壊し、まったく新しい明治を新聞記事や世の中の出来事をとおして世相の移り変わりを辿ります。

1991年刊行
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「ラジオもテレビも週刊誌もなかった時代。新聞は娯楽性を持つ必要があった。」と本書あとがきにあります。

ただの事実の羅列、新聞記事などの興味深い出来事を時系列に並べた作品。そこには作者の意見など必要がない。何というのか、これはエッセイかな?

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大政奉還の図
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星新一のデビュー作「セキストラ」に似ているといえば似ている。
人類を性的にコントロールする機械を用いて世界統一国家を成し遂げる。
その過程を世界の変化を、新聞記事を時系列につなげて、世界が急激に変化を遂げていく様を書き上げていくSF小説です。

(セキストラ)
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(夜明けあと)
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「事実の情報を並べて何かを語る」という手法は短編ならではなのかもしれない。