黒い光 星新一

子供向けのSFシリーズとして秋田書店から出版された星新一初期の作品です。

1966年(昭和41年)初版
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子供向けとは言え、昭和41年頃はこんな函入りの本が320円で買えたんですね。

アマゾンで検索したら、なんと40.000円の値がついていました。
とてもじゃないが買えません。
実は僕の持っているものは、ヤフオクで1000円で買いました。
程度は悪くないので運が良かった。

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この本については、文庫化はされていませんが、「ちぐはぐな部品」に2作品、残りの6作品を「気まぐれスターダスト」に収録していますから今でも読むことが出来ます。

ちぐはぐな部品には「歓迎ぜめ」と「凍った時間」の2作品。

1972年(昭和47年)文庫版初版
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気まぐれスターダストには「黒い光」「ふしぎな夢」「謎の星座」「月の裏側基地第一号」「謎の宇宙船」「ピーパ星のさわぎ」6作品が掲載されています。

この作品集は、星屑のように今までの作品集からこぼれ落ちてしまった未刊行の作品を中心に編集。
星新一が亡くなったあとに出版されたものです。

2000年(平成12年)初版
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そしてこの「気まぐれスターダスト」には、幻の処女作品「狐のためいき」と最新作「担当員」が収録されました。

「私は狐なのです…私はいつも仲間には馬鹿にされています。それは、人間を化かせないからです…」
(抜粋)

この作品は、デビュー前の大学在学中の22歳の頃。学生仲間がいろいろ持ち寄って文集的なものを作ったらしい。
永らく見つからなかった作品が、倉庫の中から発見されたといいます。

本人曰く「のちに千編を超えるショートショートの1号というわけだ。書いたときには考えもしなかった」

次は、1001編達成の後に書き上げた作品「担当員」です。

これは老人とお迎え担当員(死神)との会話で構成された作品です。「死神もの」に区分されると思いますがちょっと今までのものとは違います。

まるで1001篇の偉業を成し遂げた星新一自身の、人生を振り返る作品のようにも読めます。

2005年(平成17年)初版
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最後に紹介する文庫本「天国からの道」は気まぐれスターダストを再編集する形で、未収録のショートショートを6編加えて出版されました。

星新一は亡くなってしまいましたが、このように未収録の作品が読めることは嬉しいことです。

それにしても、星新一はいったいその生涯で何作品を書き上げたのだろう。