新潮社、星新一の講演会を収録したCDです。
星新一の肉声を聞けるのはこのCDだけかな。
エッセイなどで読む星新一のイメージとは大きく違う、抑揚のない、地味でユーモアもあまりない話し方です。
授業でも聞いているような印象があります。
講演会の内容は、短編小説の着想法について。
①まずは定石を覚えること
②アイデアとは異質なものの組み合わせ
③江戸時代の医学から発想してみる
④日常の疑問点から発想力を広げる
⑤大切なのは好奇心
小説を書けるようになるには、小咄を覚えるといい。
或いは、気に入った小説のあらすじを覚えるといい。
異質なものを組み合わせる。
例えば、キツネ憑きとロケット。
科学から一番離れたものと最新テクノロジーやロケットを組み合わせること。
そこから意外な展開がはじまる。
講演の中で披露している「キツネツキとロケット」というアイデアは未執筆作品です。
この話を小説に書いてしまうと「講演会で話すことがなくなってしまう」から書かないと話していました。
講演は、1001編を達成する9年前です。
異質なものの組合せは、宇宙人とのコンタクト、ロボットと人間、ネコと宇宙人、幽霊、悪魔なども広義での異質なものの組合せにあたると思います。
SF作家のエッセイや雑談、対談の面白さは、このあたりの思考方法にあるのではないかとも思います。
特に星新一、筒井康隆のエッセイは抜きん出る面白さがあります。