星新一による現代語訳。
竹取物語は、源氏物語よりも更に古い平安時代前期の成立。
作者は不詳。仮名で書かれた文学作品としては日本最古とされています。
仮名書きとは、それは万葉仮名なのか、漢字仮名混じりなのか。
原本が発見されていないから調べようもない。
その竹取物語を星新一の独特の文体で訳しました。
途中に ”ちょっと、ひと息” で、解りづらい箇所を説明しているところが星新一らしい。
そして、この竹取物語のラストシーン。
宇宙船がかぐや姫を迎えに来た、と読み取れば立派なSF作品です。
訳者の星新一も「ラストの光景は、映画未知との遭遇を思わせる」とあとがきに書いています。
星氏といえば、作家になる前は「空飛ぶ円盤研究会」に所属しており、その機関誌、宇宙塵に「円盤に警戒せよ」という論文を寄せている。
「円盤の実存には疑う余地がない。しかしそれが平和の神であるかどうかについては大いに疑問である」とのべて、G・アダムスキーの円盤平和説を批判し「万一の事態に備えるべき」と警告を発していました。(「星新一の世界」参照)
竹取物語原文
(冒頭)
今は昔、竹取の翁というもの有りけり。
野山にまじりて、竹を取りつつ、よろづの事につかひけり…
(月からの使者のシーン)
昼の明かさにも過ぎて光りたり。望月の明かさを十合せたるばかりにて…
大空より、人、雲に乗りて降り来て、土より五尺ばかり上がりたるほどに、立ち列ねたり…
装束のきよらなること、物にも似ず。飛ぶ車一つ具したり…
車に乗りて、百人ばかり天人具して、昇りぬ…
かぐや姫は宇宙の彼方に帰っていきました。