短編集「妄想銀行」に収録された「鍵」という作品。
道端で何気なく拾った鍵。
捨てるのも面倒なのでポケットにいれて家路につく。
数日後、ポケットの鍵に気づき、手にとって眺めているうちに気にかかり始め…
平凡な男が偶然手にした「鍵」、男の人生は静かに動き始める。
その鍵が入るべき鍵穴を探し続ける人生…
年老いて男は最後の時を迎える…
「なにもいらない。いまのわたしに必要なのは思い出だけだ。それはもっている」
僕も60を過ぎ、自分の人生を省みる時間が増えた。
若さ故の過ちや、さほど大きくもない野望、手に入らなかった夢。
これから何をすべきだろうか。
星新一全作品中の最高傑作、代表作はと、もし誰かに問われれば、僕は迷わずこの作品と答えます。
なにがいいのかって?
いいものはいい。それだけです。
ご一読をぜひ。