イソップ寓話にある「ウサギとカメ」の話をもとにした、カメに何度戦いを挑んでも山の中腹で寝込んでしまい、勝つことができないウサギの物語です。
勝負を挑む度に様々な理由で敗北してしまうウサギ。
何故なのだろうか。兎に角、負けてなるものかとひたすら努力を重ねるウサギ。なのに負け続ける。
片やカメは何の努力もしない。対策も練らずに挑まれれば「はい、良いですよ。」と受けて立つ。それはツルの10倍、一万年生き続けるというカメの余裕のなせる技なのか。
このような歴然とした力の差がある対戦の場合は、絶対に勝てるはずのない相手に対して、主人公は努力を重ねて、挫折を繰り返しながらも最終的に逆転大勝利となる。
そんなストーリーになるのですが、その努力をすべき主人公は本来、のろまなカメのはずなのですが、この作品ではウサギです。
絶対に負けるはずのないウサギが負け続ける。
そこに星新一マジックがあります。
星新一は、このありふれた子供向けの童話を、大人向けにみごと変換して「ニヤリ」とさせる寓話に仕立て上げました。
先般のオリンピック。
日本人選手のメダル獲得数を毎朝のニュースで誇らしげに数え上げていましたが、人生を賭けた勝負の末に、手にできなかった栄冠にこそドラマが有るのかもしれない。
ふと思い出した「うさぎは水を飲まない」という疑問。
小学生のころ、祖母が真っ白いウサギを飼っていました。
ペットとしてなのか、増やして売るためなのか今となっては分からないのですが、祖母は幼い僕にそんなことを教えてくれた。
「へぇー、水を飲まないんだ。」と感心したのを覚えています。
でも、先ほど調べてみたら「ウサギは水を飲みます。」とあり、それどころか「1日に体重の10%」を飲むとあり、人間で換算すると6リットルほどになるらしく「随分飲むではないか」
そんな間違った飼育法を祖母は誰から聞いたんだ?
それにしても、あのウサギ、水を飲まないでよく生きていたな。