試験を不合格になった青年宅にそこの社長が訪れ、ある会社の入社試験を受けて欲しいという…
これも文庫本「ボッコちゃん」に掲載された初期作品です。「ボッコちゃん」は名作ぞろいです。
小説の形式としてショートショートがどのような評価をされているのかは素人の僕にもわかりますが「どちらが王道」とか「小説じゃない」などということは無意味です。
その当時、ショートショートは新しい形式の表現方法だったはずです。
この「小説の着想」はどの形式で発表するのに相応しいかというだけのことだと思っています。
小説は短いほど無駄が削げ落ち、骨格が露わになります。
秀逸な着想(アイデア)は鋭く読者に突き刺さります。
本作品はそんな短編です。冷静に考えれば結末は見えてきますが、それを予想させない計算された文章です。
まさに、完全なプロット、新鮮なアイデア、意外な結末がすべて上手く絡み合った傑作です。