あのころの未来 最相葉月

最相葉月さんの著作です。

星作品を読み返してみると、あの頃はまだ実現(実在)しいなかったことが、まるで預言でもしたかのように当てはまることがある。

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でも、SFという小説は元来そういうものであり、星新一のようなひときわ優れた発想力、洞察力、科学的知識を有する作家なら尚更です。

遺伝子操作、クローン、不老不死、臓器移植。
宇宙のゴミ、パソコン、携帯、監視社会、SNS、カード社会、民話、禁煙、長寿社会。
神、宗教、ロボット、医療、何とかバンク、健康、マイクロチップ、少子化、終焉…

こうやって作品のテーマを拾い上げていくと星新一の作品は本格SFであることがよく分かります。

当たり前だろう、というかも知れませんが、しかし、読みやすく、作品世界に容易にのめり込めてしまう星作品はSFであることさえ忘れてしまいます。

著者は、それら星作品から浮かび上がるSF的題材に、現代社会に通じる諸問題をテーマとして論じるエッセイです。

最相葉月さんです。
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先日、ファミレスで食事をしました。
入店したら端末に予約を入れ、順番がきたらテーブル番号のシートを片手に席を探し、注文はタブレット、食事を運んでくるのは配膳用ロボットと。
この間、人間が介在しなくても事は進んでいく。

もはや僕たちは、「あのころの未来」に生きているんですね。
本当にSFの世界です。
面白い世の中と言えるのだろうか。
何かさびしいともいえますが。