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夜明けあと 星新一
島崎藤村の小説「夜明け前」幕末から明治にかけ世の中が目まぐるしく変化していくなか、時代に翻弄されつつも理想に向かうが、潰されて精神を冒されていく主人公を描いています。星新一の「夜明けあと」タイトルは似せているようですが、内容はまったく独自の…
百年前の二十世紀 横田順彌
横田順彌の登場です。横田氏は日本SFの歴史研究に精通しており、自身は「ハチャハチャSF」と称される作品を残しています。1994年刊行ここに取り上げた未来予測は、明治大正期に「百年後の日本はどのように様変わりするか」というアンケートを250名…
スター・ワーズ 星新一の名言160選
星新一の名言集。星マリナ著(二女)、江坂遊編(SF作家)とあります。そして、この本の中で星マリナさんのショートショートが披露されております。まだ読んでいません。何となく。2010年(平成22年)発行帯に「大人になる前の君たちへ」とあるように…
ちょっと頭が痛くなる本
虚構船団 筒井康隆著 平成4年初版 新潮文庫筒井康隆の最高傑作であり問題作でもある本書は、SFファンにとっては決して避けてはいけない作品であると同時に読むにはとても気力体力そして根気のいる作品です。第一章の文房具のエピソードが僕は大好きです…
これぞ日本のSF
残像に口紅を 筒井康隆 1989年発行 中央公論社筒井康隆50代半ばに書かれた実験的小説です。元来、文字で表現する小説。その設定を根本から揺るがす「文字が徐々に消えていく小説世界の中で物語は進行する」まず最初に世界から「あ」が消える。つまり…
日本SFサッカークラブ
小松左京が予約をとったという、SF作家クラブの親睦旅行でのひとこま。(世田谷文学館 筒井康隆展図録から)到着した一同は大爆笑し、出迎えた仲井さんも、とうていサッカーなどやりそうもない恰幅のいい星新一や小松左京を見て不審そうな顔をしていたとい…
SF界の名言集
この界隈では有名な迷言の数々をご紹介いたします。①命短し襷に長し…星②弘法も木から落ちる…星③点棒だと思うから腹が立つけど、金だと思ったら腹は立たない…星④庇を借りて母屋を乗っ取ってやる…不詳⑤一姫二太郎三なすび…筒井⑥飼い犬に手を噛まれる…


とSFとの出会い
自己紹介にかえて

昭和36年生まれの僕がSFと出会ったのは中学生のころ。やはり例に漏れず星新一の作品集だったと記憶しています。それが「ボッコちゃん」だったか「ようこそ地球さん」だったかは記憶にないのですが、その面白さに夢中になりその後も作品集を手当たりしだい読み漁りました。
続いては、ちょっと毛色の違う筒井康隆の作品。それは「にぎやかな未来」という初期ショートショート集でした。この作品集もおもしろかった。ただ僕の正直な読後感は「星新一に比べて雑だな」ということです。簡単に言うと物語の展開から結末に向かう流れのことで、筒井康隆の作品の結末にはどこか強引さがあり、星新一の結末やオチが繊細で少しでも不自然さが残らないよう熟慮されているのに比べ対照的でした。
3番目に出会ったのが小松左京。作品は「ゴエモンのニッポン日記」だったか、それとも「明日泥棒」かな。なぜだろう。小松左京の作品にはどっしりとした安定感があります。長編作家気質の成せる技なのか、両足がしっかり地に着いている感じでした。
友人が僕の書棚を覗くと決まって「ありがちな並びだね」との感想に、言われた僕もなぜか恥ずかしさがあり、そこには星新一がSFの入門書で、そこから筒井康隆や小松左京…と難しく高級になるみたいな段階とみられていたあの頃から今に続く評価がありました。
そんなバカな話しはないではないか。文学や芸術にそんな単純な段階的分類分けなどあるわけない。そこにあるのは文学的、芸術的な「質」の深さであり、単なる長さや表現方法などではない。
いずれにしても、この流れはまさに教科書通りのSF御三家の初期経験であり「刷り込み」にあたります。僕にとってSFといえばこの3人の作品とそこから派生し出会った作家の作品であり、とても狭いエリアの中にあります。だから中々、最近のSFにまで手が伸びません。現代の科学の進歩を思えば、最先端のSFはどこまで行っているのか興味はとてもありますが、とりあえずは僕がすり込まれてしまった初期SFをもう一度楽しんでいます。

などと、ここまで自己紹介を兼ねた読書歴を書いてきましたが、結局、僕は普通のSFファンです。世の中の些細な圧力で心が折れそうになったとき、SFを時折読むことによって一時的にでも現実から逃れ、心の平常を取り戻し現実社会に復帰している。そんなに熱狂的でもない、ありふれたどこにでもいる普通の読者です。
日々の忙しさの中で読書に浸れない日常が続いていた頃「定年を迎え一段落したら安楽椅子に横たわり、買いためて手付かずの本をゆっくり読んでやろうかなぁ…」そんなことを考えていたことを思いだしました。「今がその時。せっかく読むのならその感想を書き残しておきたい」それがこのブログのはじまりです。とりあえず過去に読んだ懐かしい本に再度目をとおしながら書き始めました。そんな普通の僕が書くSFブログです。全然深くもなく専門的なことも書いていません。それでもお楽しみいただければ、このブログを書く力も湧いてきます。

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