日本SF作家クラブ

小松左京が予約をとったという、SF作家クラブの親睦旅行でのひとこま。

(世田谷文学館
 筒井康隆展図録から)
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到着した一同は大爆笑し、出迎えた仲井さんも、とうていサッカーなどやりそうもない恰幅のいい星新一や小松左京を見て不審そうな顔をしていたという。
これは、みんなを楽しませるため、小松左京が仕組んだことだったのかもしれない。


東海村にある日本原子力研究所を見学した際のエピソード。
星新一が暇つぶしに、守衛さんに
「はらこつとむさんに会わせてください。」というと、
守衛さん「はぁ?」
星は、「あそこに、原子力研究所と書いてありますよ。」
守衛さん「あれはげんしりょくと読むんです。」
とからかわれているとも知らず、真面目な顔で応対していた。

星新一
「原爆は作らないんですか?」
研究員
「非核三原則が…云々」と作れないことを丁寧に説明する。
光瀬龍
「何だ、おもしろくねぇ、原爆の一つも作れないのか。」
研究員
「何ですか!原爆なんて、作ろうと思えば明日にでも作って見せます!」
若い研究員は怒りだしてしまった。
多分、本音だろう。

とにかくみんな若く、イタズラ好きで、発想が突飛なSF作家だったんですね。
随分あちこちで、迷惑をかけたことでしょう。


(日本SF作家クラブ)
日本SF作家クラブは職能団体にはしたくない。という星新一の意向が反映して、規約は作らず入会は全員一致が原則となった。
仲良しクラブという性格から、冗談半分の不文律ができた。
星新一より背の高い者はだめ。
馬はだめ。
宇宙人はだめ。
身長190cm の田中光二が入会してきた時は、「足を詰めたら入会を認める。」などと言われたそうです。

以上、豊田有恒著「日本SFの誕生」より