筒井先生は、優れた役者かと思えば、マンガも書きクラリネットも吹くジャズマンでもある。
その手にかかれば、小説は世の常識を笑い、からかい、ひっくり返す。
神様であろうと権威主義者であろうと、奈落の底まで落ちてゆくような作品を書く。
かと思うと、シリアスな作品も沢山ある。
そして、結局、ラジオ出演での話やインタビュー記事などを読むと、作品群からは想像できない常識人であり、紳士だ。
筒井康隆先生は、全くのトリックスターであります。
そして、本作品は豪華なカセットブック版です。
そして、墓場で蘇ったキリストと娼婦との会話。
それじゃ、と立ち去ろうとするキリストに「今度、いつ会えるの?どこで会えるの?」
「いつだって、どこでだって会えるさ。今後、世の中が息苦しくなるたび、必ずその社会をバカにしメチャクチャをやり、人を笑わせる奴が現れる。いつの世にも、どこの国にもだ。そいつのために人々は日常の社会から非日常の社会に引き戻される。危うく息つぎができ、社会は精神の均衡を取り戻すだろう。しかし、結局、やり過ぎのため、そいつは世の非難を浴びる。だが、いかに非難をあびようと、例え抹殺されようと、そいつは生まれ変わり、死に変わり、いつでも、どこへでも必ず現れることだろう。それが、私だ。」
筒井先生、最高!
この作品のDVD版はないのだろうか。