日本SFの誕生 豊田有恒

豊田有恒氏が先日、令和5年11月28日に85歳でお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。

豊田先生は、1960年代、日本SFの黎明期からの歴史を事細かに書き残した、大変貴重な資料となる本書を遺してくれました。

2019年(令和元年)初版
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その当時、日本の出版界では、SF小説を出版するとその出版社は倒産する、というジンクスがあったそうです。

そんな中、星新一はひとりプロのSF作家として奮闘していましたが、後輩の小松左京、筒井康隆たちは苦戦を強いられていました。
いまでは信じられないことです。

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SF小説は、新しいジャンルであるうえに、独特の専門用語(SF方言)があり、敬遠されがちだったのだろう。

以前アップしましたが、その頃のSF作家たちは、SF辞典やSF入門などのバイブルを片手に「SFとは何か」「SFはこんなにおもしろいんだよ」とSFのにわか宣教師になりました。

でも、いつの時代にあっても若者たちは新しいことに敏感です。(そう、僕のような)
そのような努力のかいあって徐々にSFは市民権を得てゆきます。

ホシヅルと鉄腕アトムです。
巨匠のコラボレーション
貴重なコースター

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スーパージェッター、宇宙戦艦ヤマト、エイトマン、サイボーグ009

仮面ライダー、ウルトラマン、ゴジラ、ウルトラQ…

ついでに、キューティーハニー、ドラえもん、パーマン、タイムボカン、ドロロンえん魔くん…

どこまでがSFの範疇かはアヤフヤですが、あの頃のマンガはおもしろいものばかりだった。

当時、テレビ放送が始まったばかりのSFアニメのシナリオ制作には、豊田有恒、筒井康隆などの新人SF作家が関わっていたといいます。

手塚治虫、石ノ森章太郎、永井豪、藤子不二雄、そして「童夢」の大友克洋もSFエリア。

みんなSF仲間です。

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子供の頃、大好きだったアニメやマンガ家がSF作家とも深くつながっていたことが、この本にも詳しく書かれています。
そうだったんだ!
そうだよねぇ。