筒井康隆の初期ショートショート集ではありますが、どちらかというと「上出来」とは言い難い作品を集めています。
それまでの、著者が自信を持って「世に問うてきた」作品群からはチョットこぼれ落ちた作品。
二十代の頃、通勤の暇つぶしにと駅のキオスクで文庫版を購入しました。
その解説か何かに「著者本人さえも掲載するのを躊躇した不快な作品」
だからすごい作品集だ。みたいなことが書いてあったように記憶しています。それ意味が違うよね。
筒井康隆自身もあとがきで書いているように「作品のうちのいくつかは発表するのが恥ずかしい」と書いています。もちろん作品のクオリティのことだと思いますが。
未発表作品を集めて作品集をつくるという企画、本人も忘れている作品を、担当者はどこから見つけてくるのか、枚数が足りないからと、あちこちから。
全体としては、とてもおもしろい作品集となりました。
さすが筒井康隆ですが、中には確かに、もっと丁寧に作り込んだら傑作なのにという作品もあります。
この作品集、筒井康隆のSF的アイデアの原点が読めるという点でも面白いし、やはりSFそのものがまだまだ若かった時代のSFですから、今読み返すとそこが面白い。