この界隈では有名な迷言の数々をご紹介いたします。
①命短し襷に長し…星
②弘法も木から落ちる…星
③点棒だと思うから腹が立つけど、金だと思ったら腹は立たない…星
④庇を借りて母屋を乗っ取ってやる…不詳
⑤一姫二太郎三なすび…筒井
⑥飼い犬に手を噛まれるという話は、よくあることだが、飼い犬のほうが、飼い主に尻を噛みつかれたようなものだな…星
⑦所長の『はらこ つとむ』(原子力)さんに会わせてください…星
⑧未来はもはや過去のものである…星
⑨涙隠して尻隠さず…星
⑩狂気の沙汰も金次第…筒井
⑪そこのけ山の手電車が通る…不詳
⑫親子三人猫いらず…不詳
⑬暑さ寒さも胃癌まで…不詳
⑭雀百までわしゃ九十九まで…不詳
⑮仏の顔も三度笠…不詳
必要ないけど少し解説します。
なにが面白いのか分からない人には分からないかも知れませんが…
[解説]
①「命短し恋せよ乙女」+「帯に短し襷に長し」の造語です。
②「弘法も筆の誤り」+「猿も木から落ちる」の造語です。
弘法とはご存知のとおり、弘法大師(空海)のことで、空海はとても字が上手かったのです。
そして、猿は木登りが得意です。
それぞれ自分の得意分野がある。そこをわきまえず木に登ったりすれば、あの空海でさえ失敗するんです。木から落ちたりします。猿じゃないからね。
③SF仲間ではよく、あまり上手くないマージャンを馬鹿話をしながらやっていたそうで、そんなとき負けが嵩んだ星が発した言葉です。
④迫害されていたSF作家の心意気です。
⑤「一姫二太郎」+「一富士、二鷹、三茄」の造語です。
⑥SFマガジン(昭和44年)誌上で行われた『覆面座談会』での有名な事件。
福島正美編集長が自ら参加しての匿名での座談会。(後日全員の名前が判明する)
仲間の?SF作家を次々とほぼ全員を酷評したこの座談会をキッカケに、作家との関係は最悪となり、編集長を辞めることとなった事件です。
その時に発した星新一の言葉です。
言い得て妙とはこのことです。
因みにこの座談会で星新一のみが褒められていたといいます。
このジョークで怒り心頭の作家たちの心がやや収まったといいます。
⑦SF作家クラブの旅行で訪れた東海村原子力研究所で、入口の守衛をからかって言った言葉です。
この冗談は守衛には通じなかったそうですが、星新一はお構いなしで非常識なことを言います。
⑧バラ色の未来論がブームの頃、そんな世相に嫌気が差して発した言葉です。
⑨「頭かくして尻隠さず」
⑩「地獄の沙汰も金次第」
⑪「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」小林一茶の句です。
⑫「家族水入らず」+「猫いらず」の造語かな。
⑬「暑さ寒さも彼岸まで」
⑭「雀百まで踊り忘れず」+「お前百までわしゃ九十九まで」の造語です。
⑮「仏の顔も三度まで」+「三度笠」の造語です。
これ以上の解説は要らないね。
SFがまだまだ、日本に根づかず商業的にも苦戦を強いられていた当時、若きSF作家たちは身を寄せ合って、このような馬鹿話をしながら夢に向かっていたのだろう。