筒井康隆コレクション1 筒井康隆

筒井康隆コレクションと銘打った作品集
タイトルは「48億の妄想」
こんな分厚く高価な本を全7巻シリーズで出している。
年金生活も数年後。もちろん既読作品ばかりで迷ったのですが、今となっては手に入らない「SF教室」と「NULU」が復刻掲載されているとあっては買わないわけにはいかない。

2012年(平成24年)発行
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このような分厚い本は嬉しいけど置き場所に困る。
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筒井康隆一家が発行していた伝説的な同人誌「NULU」
この同人誌からプロ作家へと道が開けた。
筒井は、家族を巻き込み、給料の殆どをつぎ込んで、装丁デザインを豪華にし、テレビの取材も受けて、とにかく目立つために注目度を高める仕掛けをしている。

同人誌は、一般的に、人の評価などどうでもよいと、自己満足で、見た目はどうでもよくガリ版印刷の小学生の文集みたいなもの、でももの凄く自己顕示欲が高く、プロ作家になりたくて仕方がないというイメージです。

それにしても、兄弟揃って高水準の   SF短編を発表できるなんて、まともな兄弟ではない。

その兄弟の作品を読みたいが、探してもなかなか見つからない。
今回、復刻掲載されているとあったので期待したのですが、ページ数の関係上割愛されていました。

NULUに掲載された筒井康隆作品は殆どその後の作品集に納められたものの、手直しが加えられています。
この作品集に納めた作品は手直し前の形が残っているので、ツツイストとしてはうれしいことです。

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掲載作品は、「48億の妄想」「幻想の未来」そして「SF教室」「NULU」

前にも書いたことですが、この当時のSF作家は何らかの形で「SFとはなんぞや」という内容の書籍を残しています。作品の質を高めることは勿論ですが、SFとはどのような文学なのかを知ってもらう所から始めるしかなかった。
それ程マイナーであり、先ずは手にとってもらうためにもSFを知ってもらうことが必要だったのだろう。
今は、小説、マンガ、ドラマなどに当たり前のようにSF的手法が採用されるまでになりました。
科学的説明などなく過去に旅行したり、未来の自分と出会ったり…

そして、それを読者、視聴者はSF的手法とは意識せずに作品を楽しむ時代になりました。
それもこれも、みんなあなたたちの努力のおかげです。

だから僕はこの悪戦苦闘のなか書き上げられた時代のSFに魅了されます。