SF御三家の初期作品の中から、3人の作風がよく現れているものを選びました。
3人ともたくさんの優れたSFを著しています。
これからこSFの世界に入っていく足がかりとなれば幸いです。
是非、ご堪能ください。
【肩の上の秘書】星新一著
作品集 「悪魔のいる天国」に収録
[作品紹介]
ローラースケートで颯爽と町中を走り、商品を販売するセールスマン。
肩の上には美しい翼を持ったロボットのインコが…
近未来の都会の日常は、肩の上のロボットインコが必需品です。
まるで現在のスマホみたいに無くてはならないアイテムで、これがなければ社会生活もままならない。ここで「ロボットインコ」という形で物語にするところが星新一らしいところです。
と思っていたら先日、ある機能を備えたアプリを搭載したスマートフォンの話題がテレビで流れていました。
「これはまさしく肩の上の秘書」ではないかぁ…と思わず叫びそうになりました。
全く星新一という作家は…生誕100年になろうとするこの令和の世を、70年前にその作品執筆の作業中に見えてしまっていたということか。
優れた文学作品は、社会を人生を鋭く描きます。
優れたSF作品は未来という舞台に現在を投影し、思いもかけない真実を映し出します。
時折、星新一の作品が予言的だと話題に張りますが、全くリアルに僕はテレビ越しにその予言的作品を見つけてしまいました。
そのアプリを、普段使いに社会を円滑に過ごせるようにするのに役立つそうです。
【お助け】筒井康隆著
作品集 「にぎやかな未来」に収録
[作品紹介]
最初、それは細君との口論からはじまった。妙にノロノロしたいい方で彼女は彼に、数日来の不満をぶちまけたのである…
「最近、しゃべりが早くなり、何を言ってるのかわからない」というのである。
彼からすれば時間の経つのが遅くなったとしか思えない…
宇宙航行士としての、日夜厳しい肉体訓練の実験を受けている主人公。そのことが彼を時間の波から逸脱させてしまったのだろうか。
そしてその逸脱がどんどんエスカレートしてゆく。
何をやろうと、どんな悪事を働こうとも、彼以外の社会の流れの中では「彼」は認識されず、どんなことをやろうとやるまいと虚無的孤独感に苛まれていく…
時間軸を題材にしたSF作品。
鬼才・天才、筒井康隆のデビュー作を是非ともお楽しみください。
【地球になった男】小松左京著
作品集 「地球になった男」に収録
[作品紹介]
ある朝、牛の姿で目が覚めた男。そう、カフカの「変身」のように。
そして自分が何にでも変身することができることに気づいた。
男は、様々なものに変身し続け…男でも女でも、人間でも動物でも怪物でも…
やりたい放題、怪獣に変身して、家を壊し、待ちを壊し、山を壊し…破壊の限りを…
先に紹介した筒井康隆が描いたお助けの主人公の「孤独」と小松左京が描いている地球になった男の「孤独」を読み比べてください。そんなSFの楽しみ方もあります。



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