著者名 星新一
掲載作品集 ようこそ地球さん
敷地内の雑草と格闘している。
そんな時に「コイツらには意志があるはずだ」と思える瞬間があります。そして、その生命力には驚異を感じるほど。
ちっぽけな我々人間が、植物のことを思いやるなんて全くの思い上がりではないかと。そんな意味でも、自然との共生、自然を大切に、地球に優しくなどの言葉はいらない。
などとも考えてしまう瞬間があります。

昨今、子供達まで口にする「地球に優しく」という思いやりなのかモラルなのかわからないが、地球はそんなに柔じゃない。
人間の身勝手な行動で地球が破滅する前に、生命体としての地球の大きなうねりで、人類なんて呆気なく消え失せてしまうだろう。
だから地球の心配する暇があるなら自分たちの心配をしなさいと、地球に言われそうだ。
この「宇宙通信」はそんな人間と遙か彼方の宇宙生命体とのファーストコンタクトを描いた物語です。
物語を簡略すると、地球から宇宙の彼方の、どこかにいる知的生命体に対して電波を送り続けている科学者たち。
五十年後、微かな電波が届く。
さらに五十年後、訳のわからない電文が。
続いて地球からは「十進法」を使っている内容の電波を送ると返事が「1,2、1,2」と…
「なるほど。相手の住民は二進法を使っているらしい」「指が2本なのかもしれない」…
え?二進法って指で数える数え方のことだったの?
それはよいとして、このように友好的にことは進むと思っていた地球人に思いもかけない贈り物が届くことになる…

われわれ地球人の考え方と、何万光年も離れた未知の惑星に育った知的生命体が、同じ常識で進化している訳はないのだが、そんな当たり前のことを僕たちはなかなか理解できないものです。
地球に優しくとか、上野で生まれたパンダが中国に帰ったら「中国の仲間たちと仲良く暮らしてね」とか。
僕たちは、ついつい動物を擬人化した目で見てしまいがちだが、そんな人間的考えを種の異なるパンダやサルや犬、猫が持っていると信じてしまう愚かさが人間にはある。
そんな当たり前のことを目の前に提示してくれるのが、ショートショートの鋭さです。



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