著者名 最相葉月
出版年 2003年(平成15年)
発行 新潮社
ジャンル エッセイ
星作品を読み返してみると、あの頃はまだ実現(実在)しなかったことが、まるで預言でもしたかのように当てはまることがある。
「声の綱」や「おーい でてこーい」が有名です。
でも、SFという小説は元来そういうものであり、星新一のようなひときわ優れた発想力、洞察力、科学的知識を有する作家なら尚更です。
遺伝子操作、クローン、不老不死、臓器移植。
宇宙のゴミ、パソコン、携帯、監視社会、SNS、カード社会、民話、禁煙、長寿社会。
神、宗教、ロボット、医療、何とかバンク、健康、マイクロチップ、少子化、終焉…
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こうやって作品のテーマを拾い上げていくと、星新一の作品は本格SFであることがよく分かります。読みやすく、作品世界に容易にのめり込めてしまう星作品は、時折SFであることさえ忘れてしまうことがあります。
著者は、それら星作品から浮かび上がるSF的題材に、現代社会に通じる諸問題をテーマとして論じるエッセイです。
先日、ファミレスで食事をしました。
入店したら端末に予約を入れ、順番がきたらテーブル番号のシートを片手に席を探し、注文はタブレット、食事を運んでくるのは配膳用ロボット。
この間、人間が介在しなくても事は進んでいきます。
もはや僕たちは、「あのころの未来」に生きています。
面白い世の中だろうか。それともさびしい世の中なのか。



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