著者名 星新一
出版年 1987年(昭和62年)
発行 ビクター音楽産業(株)
ジャンル LPレコード
A面 戸棚の男
B面 ネチラタ事件、四で割って
ショートショートを落語仕立てに練り上げた作品で、1978年LPレコードで発売されたものです。
今となっては大変貴重な、古今亭志ん生が40歳、柳家小三治39歳当時の声が聞けます。
落語とショートショートはどこか相性が良い。
本作品では、まだまだ原作に忠実ですが、もっと落語家の腕でこね合わせれば新たな面白さが生まれるでことでしょう。
ショートショートと落語は共通点もありますが、やはり別物です。
アイディアと作品の趣旨を保ちながら落語として新たに作り上げたらと思います。あくまで原作は星新一でも、作品は落語家のものですから。
レコードをダビングしてCD化、それをさらにウォークマンに入れ、Bluetoothで音声を飛ばし車で聞いています。40年前には有り得ないこと。世は既にSFの世界まっただ中ともいえます。
このような便利で夢のような時代ですが、星先生がご存命なら、この現実をどんなユーモアたっぷりの言葉で表現するのだろうか。
昔の音楽再生機器で思い出すのが、カセットデッキのオートリバース機能です。
最近のラジカセ付属のカセットデッキにはこの機能はないみたいですが、A面の曲が終わるとB 面に自動的に移り、カセットテープをひっくり返す必要がないという優れものです。これだと永遠に聞いていられました。
それとどこか似ているエピソードが、ゴルフ練習用の機械です。
機械からボールが転がってきて、それを打ち返すと、またボールが転がってくる。
星新一は、それをたまたま二台貰ったため、その機械二台をお互い向かい合わせて配置し、スイッチを押すとボールはいつまでも行ったり来たり…
お客さんに「ご覧なさい。これが機械のあさましさだよ」と笑う人ですから、きっと面白いことを言ってくれそうです。
80年代には、アナログレコードにも表裏の自動演奏という商品がありました。
レコードをターンテーブルに乗せず、縦に設置して両側から音を拾うようなシステムでオートディスクという名称でしたが、普及はしなかったようです。見た目も美しくなかったし。
趣味のものは合理性ばかりでは人気が出ません。理にかなった高機能、それでいてちょっと手間がかかる。そして機械的な美しさが必須だと僕は考えています。つまりウンチクが語れるもの、高級腕時計などその代表格ではないだろうか。時間の正確さだけなら安物の電波時計でも十分だけどそれじゃ我慢できない。



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