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イナゴだけどね

4.0
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夜9時30分過ぎ自宅に帰ると玄関に季節外れのバッタがいた。
(イナゴだな)

夏の緑の背広は茶色に変わり殆ど動けない。
イソップの寓話に「アリとキリギリス」がある。
これだな!(イナゴだけどね)

アリはもう既に冬支度も終わり炬燵でノンビリ茶でもすすっているはず。
このイナゴは大好きな田んぼで好きなだけ遊んでいたんだ。
結果このアリ様(イナゴだけどね)

自分の人生、生きたいように生きる。
充実した生き方をしたいんだ。
仕事なんて生活費が稼げればいい。
だから昇進もせず自由な平社員の暢気さで生きてきた。
出世など自分の人生には邪魔なだけ。
おれは楽しく生きたいんだ。生きてきた証が欲しいんだ。
お金などいらない。充実した今があればいい。

そして今。
還暦過ぎてもまだ働いている。
収入は1/5に。

なんてこった、妻に腹一杯ご飯を食べさせたい。
あぁ情けない。
おれは冬のイナゴだ。

悔やんでも遅い
小遣いが増えるわけでも無い。
ギリギリの年金生活。

毎日食べるので精一杯。
もっと貯金しとけばよかった。
保険も入ればよかった。
どこかにいい仕事ないかなぁ…

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