著者名 星新一
出版年 1961年(昭和36年)
発行 新潮社
ジャンル ショートショート
収録は30作品。
デビュー作「セキストラ」、教科書に掲載された「おーい でてこーい」、問題作「生活維持省」や初期の傑作「処刑」、「親善キス」、「最後の地球人」など種々様々変化に富む作品が収録されています。
本のタイトルは「人造美人 」副題としてショート・ミステリーとあります。
言わずと知れた名作「ボッコちゃん」の単行本版であり、星新一にとって初めてのショートショート集です。
単行本の装丁は怪しげな都会の夜の裏通り。
人知れずこの街の一角で事件が進行しつつある…
この大人の雰囲気、そこに潜む人間のエゴ、運命にもてあそばれる闇の世界観が星新一です。
代表作として名高い「ボッコちゃん」は、デビュー作「セキストラ」に続く2作目です。
ボッコちゃんを書き上げた時「これだ。と心の中で叫んだ。神から能力を授けられたという感じである」と著者はエッセイに書き記しています。
誰かの評論にあったのですが、SFという小説が世に出始めた頃、大学生たちは星新一の書籍をまるで哲学本でもあるかのようにポケットに差し込んで持ち歩いていたといいます。
今でこそ、子供向けで簡単に読めるイメージですが、デビュー当時は星新一の名前から「新しい星現る」といわれるほどの人気でした。
日本では純文学などのように、人生の機微を描くなどと言いつつ、重箱の隅をつつくような深刻ぶった難しい表現の作品が有り難がられる傾向にあります。
生活苦や破天荒な人物を題材に、時には作中人物を自分に置き換え、家族も巻き込んでの不幸合戦が文学でもあるかのような、あげくの果ては入水自殺までしてしまう。
それは文学的ではなく、単なる病ではないのだろうか。
それはさておき、星新一はじめこの当時のSF作家たちは夢に満ち満ちて、あたかもビッグバーンのように弾けていきました。
それは80年代、僕の青春期にすごい勢いで拡散し浸透し、一気に市民権を得ていきます。
その一番最初の衝撃が、星新一のこのショートショート作品集だったのではないだろうか。



コメント