時をかける少女

4.0

著者名  筒井康隆
出版年  1967年(昭和42年)
発行   鶴書房盛光社
ジャンル ジュブナイル

この作品については、筒井康隆ファンでなくても、実写版とアニメ版で何度か映画化されている作品ですからご存じの方も多いと思います。【映像版_時をかける少女
SFの道具の一つであるタイムリープ、それと未来から来た青年との出会いの中で、思春期から大人への成長期のこころの揺らぎをテーマに描いたことが時代を超えた要因かもしれない。

この短編集には表題作を含め3作品が収められています。
そして巻末には、福島正実の解説・SF入門10講があります。
これは解説というより「SFとは何ぞや」というSF信者を増やすための福島正実流の布教活動のひとつで「時間旅行法とタイムパトロール」について書かれています。
今となっては古典的SFとなりますが、まだ市民権を得る前の若かりし頃のSFを味わってみてください。

 
本作は「SFベストセラーズ」と題し、日本のSF作家だけを集めたシリーズのひとつ「筒井康隆編」です。
たぶん各書籍でこのSF入門の講義を行っているのだろう。福島正実らしいなと思いました。
巻頭に福島正実のはじめにと題した一文があります。

そこにはジュール・ベルヌがSFの世界を切り開いて100年、まだまだアメリカやソ連が一歩先をいっているが「日本のSFもこのレベルまで追いついてきているのだぞ」とそんな思いが伝わります。【SFの始まりは…ジュール・ベルヌ

60年代高度成長期にはあっても、日本社会は未だ未だこれから。80年代に向け技術大国となる日本と伴走するように、日本のSFも成長してきたのではないか。
時間が許すなら、この「SFベストセラーズ」の他の作家の作品も読んでみたい。

最後に番外編を。
まず「シナリオ時をかける少女」について書き残したいと思います。
なぜこんな作品を書いたのか。自分自身の小説をパロディ化しているのです。
1985年(昭和60年)発売の「串刺し教授」に収録されています。

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映画撮影の中の演技者(つまりは原田知世たち)とその横で暴力不良学生たちとの「虚構と現実」が入り乱れる様を描いている点において立派な実験小説の体をなしています、がここまでドタバタでメチャクチャなシナリオを書かなくてもと思うのですが、この作品を絶対自分の代表作などと評価させるものかという筒井先生の悪あがきにも思えますが如何でしょうか。

そして次に、「タイムトラベラー」というタイトルでテレビドラマ化されたバージョンについて。昭和47年(1972年)、僕が11歳の時なのであまり覚えてはいませんが、楽しみに見ていたという記憶だけがあります。

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「時をかける少女」が映画化される10年前。
この画像を見る限り、やはり10年の歳月を感じますね。
でも、単行本の雰囲気はまさにこのタイムトラベラー。

やはり、「時をかける少女」は名作ですよ、筒井先生。
どうしますか?
 

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