著者名 星新一
出版年 2010年(平成22年)
発行 新潮社
ジャンル カセットブック
星新一の講演会を収録したCDです。
星新一の肉声を聞けるのはこのCDだけです。
エッセイなどで読む「周りのSF仲間を爆笑の渦に巻き込む」あの星新一のイメージとは大きく違う、抑揚のない、地味でユーモアもあまりない話し方です。
学校の授業でも聞いているような印象があります。
この講演会は、1974年(昭和49年)に行われ収録されたもので、1001編を達成する9年前に収録されたもの。
星新一は46歳です。
講演会の内容は、短編小説の着想法について
①まずは定石を覚えること
②アイデアとは異質なものの組み合わせ
③江戸時代の医学から発想してみる
④日常の疑問点から発想力を広げる
⑤大切なのは好奇心
小説を書けるようになるには、小咄を覚えるといい。
或いは、気に入った小説のあらすじを覚えるといいと勧めています。
小咄や小説のあらすじが、囲碁や将棋で言うところの定石にあたり、文章の組み立て方を自然に覚え、それを第三者に伝える技術を覚える最良の方法だと言います。
異質なものを組み合わせるとは、
例えば、キツネ憑きとロケットを組み合わせて小説を構想してみる。
科学から一番離れたものと最新テクノロジーやロケットを組み合わせること。
そこから新たな発想が生まれ、意外な展開がはじまるということです。
講演の中で披露している「キツネツキとロケット」というアイデアはまだ小説にしていません。
この話を小説に書いてしまうと「講演会で話すことがなくなってしまう」から書かないと星新一は講演で話していました。
異質なものの組合せは、宇宙人とのコンタクト、ロボットと人間、ネコと宇宙人、幽霊、悪魔なども広義での異質なものの組合せにあたると思います。
SF作家のエッセイや雑談、対談の面白さは、このあたりの思考方法にあるのではないかとも思います。
僕は、SF作家のエッセイが好きでよく読みますが、特に星新一、筒井康隆のエッセイは抜きん出る面白さがあります。
その源には、小説を書くために異質なものの組み合わせを、常日頃から無意識の中で行っている、その結果がエッセイや対談の面白さにつながっているのだろう。


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