SF小説は、未来や異世界を扱う分野であることから、一般的言い回しとは異なる言葉が数多く存在します。つまりは専門用語です。
SF方言
SF方言とは、SF小説で使用される、SF小説特有の言葉や言葉の使い廻しをさし、このSF特有の言葉により、SFの世界観をさらに豊かに表現することができますが、さあこれからSF小説を読んでみようと、SF小説を手に取り読み始める際にはその耳慣れない言葉が、SF作品へのひとつの障壁となっていることから、「SF方言」などと差別的扱いを文壇から受けている言葉のことです。

親殺しパラドックス
時間をテーマとしたSF作品の題材のひとつ。
古典的テーマでありながら、とても難しい課題です。
『ある男がタイムマシンを発明します。男はそのタイムマシーンに乗り込み、自分がまだ生まれていない過去に現れ、両親を殺してしまいます。その結果、男はどうなるのか』
親殺しが成功する➡男は生まれてこない➡生まれてこない男にタイムマシンは発明できない➡親は殺されないので男を生む➡生まれた男はタイムマシンを発明する➡男が過去に戻って親を殺し親殺しが成功する➡男は生まれてこない➡……
このパラドックスに挑戦したSF作品が数多く書かれています。
①親を殺すと自分も消えてしまう
②親を殺そうとするが殺せない
③殺しても歴史に何の影響もなく何も変わらない
①は、映画「Back to the Future」で描かれた、段々自分の姿が薄くなってくるというシーンです。つまり、自分の親が結婚しないことにより、この後の世界の歴史が変わってしまい、この男は生まれてこないという別の歴史に移ってしまうというアイデアです。
②は、歴史を変えることはできない。男が親を殺そうとすると、そこに歴史という大きな時間の流れの力が生じ邪魔されてしまう現象で、筒井康隆作「時をかける少女」で、主人公がタイムリープの途中で子供の頃の自分を見かけるが、自分がその子の前に近づくとその子はどこかに消えてしまい、同時間に存在することができない。邪魔されてしまうという現象が起きます。
③は、実は殺した親は実の父親ではなく、母が浮気をした相手の子供だったなどの展開で、これは明らかにパラドックスに向き合っていない、つまり逃げています。
筒井康隆のショートショート「タイムマシン」という作品があります。
この作品は、決して「タイムマシン」のパラドックスに向かい合った作品ではないですが、まぁ、こんな作品もあります。
短編集「笑うな」に収録されています。
友人からタイムマシーンを発明したと連絡を受け、早速友人宅へ向かう。
そして二人で数分前に遡り…
というショートショートで、タイムパラドックスものではなく「タイムマシーンがもし発明されたらこんな楽しみ方もある」という、いかにも筒井康隆らしい作品です。ぜひ、笑い転げてください。
パラレルワールド
「パラレルワールド」とは日本語に言い直すならば「並行世界」「多元宇宙」となり、僕らが生活しているこの世界と「ほんのチョット」違うよく「似た世界」が時空違えて無数に存在しているという考え方で、とてもSF的で魅力的な世界です。
僕が子供の頃、テレビで観た映画で詳しくは忘れましたが外国映画のワンシーン。
”主人公が今までいた環境と全く同じで周りの人もそのまま。ところが、一つだけ異なる点を発見します。それは、文字が鏡に映したかのようにまるっきり反対に書かれている。そんな世界に紛れ込んでしまった”
というものでした。
「パラレルワールド」のアイデアとしては、
・宇宙飛行士が、何年もの長旅の末、地球に帰還し、日常生活に戻るが、何かが違う。家族の顔も変わらないし、友人、職場も…
・宇宙船で航行中に同じような宇宙船とすれ違う。その船の窓には自分たちとまるっきり同じ姿の乗組員が乗っていて…
・タイムマシーンで過去を旅して帰ってみたところ、明らかに様変わりしてしまった現在。いったい何をしてしまったのだろうか…
筒井康隆の作品には、このパラレルワールドを題材にした作品が多くあります。
そのすぐ隣にある「並行世界」を自由に行き来する主人公の滅茶苦茶ぶりを描く…
小松左京作品には、戦争を題材にした作品も多く、「もし戦争に勝っていたら」、「もしあの時終戦を迎えずに、本土決戦に突き進んでいたら…」
現実の世界をひっくり返し描くことで、通常の物語の進行からでは浮かび上がらなかった「別の価値観」「思いもよらない結末」などが浮かび上がってきます。
このように、SF作品においてはなくてはならない手法のひとつでもあり、アイデアひとつでSFの大きなテーマである「人間とはなにか」「文明の行き着く先は」…を描くことができます。
オズマ計画
アメリカで試みられた宇宙信号受信計画のこと。
宇宙のどこかに、地球と同じような天体があり、そこには知的生命体(宇宙人)がいるはずであり、高度に文明が進んでいれば電波信号を送ってその電波を受け取ってくれるのを待っているかもしれないという考えのもと、1960年(昭和35年)、この夢のような計画が実行に移されました。
その第一弾が、くじら座の「タウ」、エリダヌス座の「イプシロン」
このそれぞれの恒星を回っているであろう惑星に向け、電波望遠鏡を向け電波が届くのを待ちました。
オズマ計画の「オズマ」は、オズの魔法使いに出てくる妖精の女王の名前に由来しています。
計画自体はその後も何度か続けられましたが、成果は得られませんでした。
この計画は、科学者が真剣に「地球外知的生命体」を探し始めた歴史的第一歩として重要な出来事でした。

