未来いそっぷ

4.0

著者名  星新一
出版年  1971年(昭和46年)
発行   新潮社
ジャンル ショートショート

収録33作品
「アリとキリギリス」「北風と太陽」「ウサギとカメ」など。
イソップ寓話やシンデレラなどのパロディ。
そのほか、どちらかと言うと短めなショートショートが並んでいます。星新一のパロディはいつだってとても意地悪だ。

香代子夫人によれば、生前星新一氏は「寓話作家」という肩書きを好んだといいます。小説ではなく「寓話」だと。

星新一氏が晩年「人生を肯定的に総括できる」ために欲していた賞賛は、文学的評価などではなく、小説などよりも遥かに長く広いスケールで読まれ語り継がれていくアイデアとプロットなのかもしれない。少なくとも「文学的評価」よりは…

これは、浅羽通明が「星新一の思想」で書いていることですが、最相葉月が、星新一が必要としたのは「文学的評価」だった。との見解に異を唱えたわけです。

星新一は、日本の「SF作家第一号」であり、SF作家という職業を、日本の文壇にSFというジャンルを作った。
だからこそ、小松左京も筒井康隆も新井素子も様々な傑作を発表し、才能を開花できた。

日本の文学賞なんて小さい小さい。
とは言え、現世での評価も欲しい、そして歴史的な評価も得たい。と言うのが本当のところではないかと僕は思うのですが、これは本人に聞かなければわかりません。

星新一は晩年、その主人公は一層、没個性化し結末も曖昧?な、誰にでも何とでも解釈できる作風に変化してゆきます。それは、イソップの寓話にも通じることで、星新一は、このような後世に残る作品をめざしたのだろうか。

  

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