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【ショートショートの世界】/ アメリカで生まれた経緯 そしてなぜ星新一なのか

著者名  高井信
出版年  2005年(平成17年)
発行   集英社
ジャンル ショートショート入門書

「1970年代から80年代にかけて多くの作家が試みた独特なフィクションの形式があった…
星新一、筒井康隆等天才的な名手達が競い合って…アイディアの限りをつくし…」(本書より)

  

高井信自身、ショートショートが大好きで、星新一はじめ筒井康隆など、とにかく読み耽り、大学三年の時にプロ作家としてデビュー、当初の作品は殆どがショートショートだったそうです。

専門学校でショートショート講座の講師をした際のエピソードが冒頭にあります。
初めての出講日、2000年の春、衝撃的事実を知ったといいます。

要約すると「小説家志望でありながら、ショートショートを知らない。星新一も知らない。という生徒がいたという事実です。大変ショックだった。

 私が中学、高校のころ、まわりの友人はSF好きでなくとも、当然のように星新一の作品を読んでいたし、星新一の名前を知らないクラスメートはいなかった…」
そんな常識を根底から覆されたと。

確かにショックですね。
でも「それは彼らが星新一の作品や他のショートショートの魅力を知らないだけだということ。魅力を知らないまま過ごしてきたということだ」とは著者の見解です。

それでショートショートの入門書を書いてやろう、と凄まじい数の本を買い、凄まじい数の本を読んで、その努力の結晶が本書であるということです。

このような本を手にすると、僕は本当に嬉しい。
高井信さん、ありがとう。

【ショートショートの定義】
 ・四百字詰め原稿用紙で、20枚以下程度

【重要な三要素】
 ・完全なプロット

 ・新鮮なアイデア
 ・意外な結末

次は、短い物語の例です。
・史上最短のSF
 「時間は終わった。昨日で」

・一番短い幽霊話
 「きのうの夜、わたしは親友とその未亡人が一緒に歩いているのを見かけた…」

・世界で一番短い物語
 「人類最後の男が机に向かって遺書を書いていた。すると、ドアにノックの音が…」

・世界で一番短い怪談
 A「幽霊なんて、いるものか」
 B「そうかね。ひひひひひひ」
 そういってBはどろんと消えた。

これらの作品は「小咄」レベルで、ショートショートと呼べるものではありません。

次に、ショートショートについて、長さだけでなく、その内容について、一歩踏み込んだ意見を集めています。

・物語の中に閃光の人生をかいまみせながら…(リチャード・パーブライト)
・瞬間の閃きの結晶であり、才気のきらめきの結晶とも云える厳しい世界…(生島治郎)
・強いてこだわっているのは「オチ」。絶対ではないが、あっと驚く結末を重視している(横田順彌)
・一瞬のフラッシュの中に全人生を描き出す(都筑道夫)
・大切なのは、幕が降りたあとの余韻だろう(三橋アキラ)
・「星新一プラスSFもしくは超現実的作風」ということになるのでは…(山口瞳)
といろいろな意見があります。

星新一自身は、

「都筑道夫さんからブラウンのごく短い作品をショートショートと称すると教えられた。
たまたま短いものを書いていたのでショートショート作家とされてしまった。

阿刀田高は、

「まず初めに星新一が在った。しかる後にショートショートが存在した。この逆ではない」

それほど星新一の存在は大きく、ショートショートとは、星新一のショートショートである。

という概念ができあがったといいます。

などなど、本書ではショートショートに関するさまざまな事柄が取り上げられています。

ここでは書き切れないほど興味深い内容が盛りだくさんです。

ぜひ、ご一読を。


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