著者名 筒井康隆
出版年 2023年(令和5年)
発行 新潮社
ジャンル 短編集
収録25作品
帯には「これが我が最後の作品集となるだろう」とあり、89歳の著者が2021年~2023年に掛けて発表した作品を、発表年順にまとめた短編集です。
驚くことに、そのほとんどにあたる21作品は2021年に発表しています。
この年でこの執筆量は尋常じゃない。
アイデアがあふれ出て止まらないそうだ。
SF界から飛び抜けて、ジャンルにとらわれない幅広い活躍を続けてきた著者ですが、まだまだ新作が期待できそうです。
鬼才天才筒井康隆先生が、齢89歳のその年齢に見合わない21作品。
これは気軽には読めないとしばらく机の上に置いていましたが、先日、満を期して読み始めました。
年齢を重ねた重厚な文体、まさに晩年を迎えた筒井先生が「老い、死、過去」を夢のようなタッチで、現実なのか幻想なのか、今はいつなのか、誰と向き合っているのか、生きているのか死んでいるのか…、油断して読み進めると何が何なのか、作品を理解できずに著者の筆力に置いていかれそうになる。
それでも、負けずに一冊を1日で読み終えるとようやく見えてくるものがありました。
筒井康隆といえば、その流れるようなリズムのある文章とキチガイじみた発想、抱腹絶倒のドタバタギャグ、メタフィクション、実験小説、その多彩な作風に大きな魅力があります。
若い頃の筒井康隆作品は、とにかくおもしろかった。何の苦労をせずとも笑えた。
これは読者にとっては怠慢だし、作者にしてみたら「もっと深く読んでくれよ」という事だったかもしれない。
筒井先生、90歳を目前にそんな浅はかな読者に片手間に読んで楽しめる作品など今更提供しないだろう。70歳で亡くなった星新一先生も晩年の作品はそうでした。
身を削って書き上げるその作品を、僕たち読者は必死に読み込む作業が必要だし、そうでなければ作品の本来の意味や作者の内面まで理解することなどできないはず。
今回、この一冊を一気に一日で読み終え感じたこと。
「死・老い・想い出・過去・現実・夢・昔の仲間・昔の作品」
それらを一冊にまとめた作品集であり、一作一作がつながってひとつの作品と捉えることができる「コンセプト小説集」といえます。


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